
・その1 修禅寺物語・尾上伊太八 ・なお、画像は、初演時のものとはかぎりません。 ◆「鳥辺山心中」 大正4年8月の作(世話劇)。初演は同9月、本郷座、市川左団次らによる。 江戸旗本の菊地半九郎と京・祇園の遊女お染との道行。 浄瑠璃「ひとり来て、二人連れ立つ極楽の、清水寺の鐘の声、九(こゝの)つ心暗き夜に、捨(す)つるこの身はいざ鳥辺野へ……」 菊地半九郎役の市川左団次とお染役の市川松蔦
◆「箕輪の心中」(写真上) 明治44年3月作(世話劇)。同年9月上演、明治座、市川左団次らによる。 旗本藤枝外記と花魁・綾衣(あやぎぬ)との道行。心中物といえば近松風の世を儚んで泣く泣く死んで行くのではなく、世を嘲笑って笑いながら死んで行くものとして新味があるという。 唄「君と寝やろか、五千石とろか。なんの五千石、君と寝よ。」 ◆「新宿夜話」(写真下) 大正14年11月作(時代劇)。初演は昭和2年5月、本郷座、左団次、沢村源之助(綾衣役)。
◆「虚無僧」 大正14年7月作。同年9月初演、市川左団次(虚無僧空月)
◆「相馬の金さん」 昭和2年6月作。同年11月初演、市川左団次(相馬金次郎役)、中村吉衛門(石澤寅之助役) 上野の彰義隊に入ったが、鉄砲に当り……。寅之助 「おれに介錯をしろというのか。まあ、仕方がねえ。これも友達の役だ。」(金次郎の刀を取る。) 金次郎 「おめえが介錯してくれるか。おれは腹の切り様が下手だろうから、そっちで手際よくぽんと遣ってくれ。」 寅之助 「手際よくはちとむづかしいが、まあ一世一代の積りで遣ってみようよ。」 金次郎 「おれも一世一代だ。しっかり頼むぜ。」
出典:日本戯曲全集第35巻現代篇第3輯(1928年・春陽堂) |